話題のダイエットを菅理栄養士が分析! 白インゲン豆ダイエット
「白インゲン豆ダイエット」は、2006年にテレビ番組で紹介され話題になったダイエット方法です。
しかし、その時に話題になったのは「悪い方の評判」。
実は、テレビで紹介された後に実践した視聴者の方のうち、150人以上が食中毒で体調を崩しているのです。
これは白インゲン豆自体に問題があったのではなく、テレビで紹介した調理方法に問題があったと言われています。
その後、しばらく「白インゲン豆ダイエット」の名前を聞くことはほとんどありませんでした。
現在「白インゲン豆ダイエット」と呼ばれる方法は、食材としての白インゲン豆を食べるものではなく、有用成分を抽出したサプリメントを利用するものになっています。
今回は、いろいろな歴史のある「白インゲン豆ダイエット」や白インゲン豆の美味しくて安全な食べ方について、管理栄養士の視点から紹介します。
目次
白インゲン豆ダイエットとは!?
「白インゲン豆ダイエット」は、豆類の中でも白インゲン豆に多く含まれている成分のひとつ「ファセオラミン」を利用したダイエット方法です。
「ファセオラミン」は、アメリカでもダイエット系のサプリメントに配合されている成分で、でんぷんなどの炭水化物を消化する「アミラーゼ」という酵素の働きを邪魔して、吸収を遅らせる性質があります。
しかし、白インゲンには生のままでは有害な種類の「レクチン」という成分も含まれているため、分解のためには十分な吸水と加熱調理が必要です。
その調理の過程でファセオラミンも分解されてしまうので、普通に調理した白インゲン豆を食べるだけではファセオラミンを摂取することができません。
つまり通常の調理ではなく、成分を抽出したサプリメントなどを利用する必要があるのです。
ちなみに「ファセオラミン」という名前がアメリカで商標登録されているためか、サプリメントなどの原材料には「白インゲン豆抽出物」といった表記をされることが多いようです。
「白インゲン豆ダイエット」のためのサプリメントを選ぶ場合には、原材料をチェックしましょう。
白インゲン豆抽出物ではどのような効果が期待できるのか!?
炭水化物の消化・吸収を遅らせると、血糖値の上昇を抑えることができると考えられます。
実は、血糖値とダイエットは切っても切れない関係にあるのです。
食事から摂取した炭水化物は、体内に吸収されると「血糖」になり、筋肉や脳のエネルギー源になります。
しかし、その時に使い切れなかった血糖は、体脂肪に変換されて身体に貯めこまれるのです。
特に血糖値が急上昇すると、血糖が余りやすく、ダイエットにとって良くないと言われています。
また、急上昇した血糖値が体脂肪に変換されると血糖値が下がり、脳はエネルギー不足だと判断して空腹だと命令を出すという悪循環にもつながります。
つまり、血糖が体脂肪に変わるのを防ぐためには、血糖を余らせないことが大切なのです。
そこで役立つのが「ファセオラミン」などの、炭水化物の消化・吸収を遅くする成分です。
炭水化物の消化・吸収が遅くなれば、血糖値の上昇が緩やかになり、血液中に少しずつエネルギー源が補給されることになります。
そうなると、血糖が余ることが少なくなるため、体脂肪に変換されにくくなるというメリットがあります。
さらに、長い時間をかけて吸収されれば血糖値が安定するため、脳がエネルギー不足だと感じることも少なくなるため、空腹感も覚えにくいのです。
白インゲン豆ダイエットが適している人は!?
「ファセオラミン」は、炭水化物の消化・吸収を邪魔する性質を持った成分です。
そのため、普段から炭水化物を多く摂っているという方にはオススメのダイエット方法と言えるでしょう。
ただし、食べすぎている場合や、間食がやめられないには、食事の内容もしっかり見直す必要があります。
血糖値が安定することで満腹感が長持ちするようになれば、間食や食べすぎも改善しやすくなると考えられますので、まずは続けるところから始めるのがよいでしょう。
逆に、すでに炭水化物を減らしているという方には「白インゲン豆ダイエット」の効果が出にくいと考えられます。
管理栄養士が考える正しい白インゲン豆ダイエット
「白インゲン豆抽出物」を配合しているサプリメントを、食事の前後どちらかに摂取するというのが主な方法になります。
食事で摂取した炭水化物の消化・吸収を遅らせることで、血糖値を安定させ、満足感が長持ちすることが期待されます。
サプリメントを飲むだけなので手軽ですが、あくまでサプリメントはダイエットの「補助食品」です。
健康的なダイエットのためには、バランスのいい食生活と運動も欠かすことはできません。
「サプリメントを飲んでいるから、後は何もしなくても痩せる」ということはありませんんで、注意しましょう。
より高い効果を期待したい方がすべきこと
さらに効率的にダイエットを行う場合には、食事で食物繊維を積極的に摂取しましょう。
食物繊維はご存知の通り、野菜や果物に多く含まれている、お腹の調子を整えるために必要な栄養素のひとつです。
しかし、食物繊維の性質にはもうひとつ大切なことがあります。
それは「食事から摂取した栄養の消化・吸収を邪魔する」という性質です。
白インゲン豆に含まれる「ファセオラミン」は酵素の働きを阻害して消化・吸収をおだやかにしますが、食物繊維も消化・吸収をおだやかにする性質があるのです。
食物繊維を積極的に摂取することで、血糖値を安定させ、食事の満足感がさらにアップすることが期待されます。
もちろん、普段の食事に野菜を意識して摂り入れることは大切ですが、せっかくなので、ここは「白インゲン豆」を食事に取り入れるメリットを紹介します。
白インゲン豆を調理して食べることで期待できる効果
インゲン豆に含まれる主な栄養素は、以下の通りです。(※ゆでたインゲン豆100gあたり)
エネルギー:143kcal
タンパク質:8.5g
食物繊維:13.3g
カリウム:470mg
ビタミンB1:0.18mg
食物繊維が豊富なだけではなく、ダイエットに必要なたんぱく質や、むくみ対策にオススメのカリウム、糖質をエネルギーに変えるために必要なビタミンB1などを含んでいます。
「ファセオラミン」はゆでることで分解されてしまいますが、実はファセオラミン以外にもダイエットにオススメの食材なのです。
1食当たり20~30g程度は摂取できますので、3食に取り入れれば、1日に必要な食物繊維(女性は18g)の半分以上が摂取できます
白インゲン豆のゆで方と、美味しい食べ方
白インゲン豆は、しっかり吸水させてゆでることが大切です。
豆のゆで方をマスターすれば、いろいろな料理に使うことができます。
- 白インゲン豆100gを水で洗ったら、300ccの水に漬けて、一晩置きます。
- その水ごと鍋に移して中火にかけ、沸騰したら中火~強火で3分程度ゆでて、アク抜きのために一度お湯を捨てます。
- 水600ccを沸かして、沸騰したら豆と塩小さじ1/2杯と重曹少々を加えて弱火で40分程度ゆでます。
途中、お湯が蒸発して豆が水面から出てしまったら、水を足します。
豆が常にお湯に浸かっている状態を保ちましょう。 - 豆がやわらかくなったら火を止めて、自然に冷まします。
ゆで汁ごとタッパーなどに移して、冷蔵庫で3~4日保存できます。
使う時には水を切って使いましょう。
トマトベースの煮込みやスープの具にしたり、レタスとツナ、むらさき玉ねぎ、きざんだパセリを合わせてサラダにしたりと、普段の食事にプラスして取り入れてみましょう。
白インゲン豆を安全に食べるためにはしっかりと調理することが必要ですが、その点だけ注意を払えば健康的なダイエットメニューを楽しむことができますよ!
管理栄養士としては白インゲンサプリで摂取することをおすすめします!
過去にテレビ番組で紹介された「白インゲン豆ダイエット」は、白インゲンを炒って調理することで、有害成分の「レクチン」だけを分解するというものでした。
しかし、豆の種類や加熱の時間によってはレクチンが分解できないため、食中毒の原因になる恐れがあります。
また、加熱しすぎると「ファセオラミン」の分解が始まってしまうため、通常の調理でファセオラミンだけを残すことは難しいものです。
サプリメントの場合、成分を抽出して配合しています。
有害成分は取り除いていますので、安全に摂取することができるのです。
食事として摂取する白インゲン豆は、きちんと吸水し、十分に加熱して美味しく安全に食べるようにしましょう。
白インゲン豆ダイエットに興味がある方へのアドバイス
白インゲン豆ダイエット 記事執筆者情報
【はじめ先生のプロフィール】
年齢:35歳
好きな食べ物:東南アジア料理、肉料理、お酒
趣味:サイクリング、食べ歩き
病院と福祉施設で、栄養士・管理栄養士として約8年勤務し、糖尿病のエネルギーコントロール食など、様々な病気に合わせた献立づくり・食事づくりや、減量・減塩などの食事に関するアドバイスを行ってきた経験を持ちます。
白インゲン豆ダイエットサプリで人気の商品
白インゲン豆抽出物を配合し、口コミで人気の白インゲン豆ダイエットサプリをピックアップしました。
白インゲン豆の成分「ファセオラミン」は、サプリメントから摂取することで安全に取り入れることができることがお分かりいただけたかと思います。
また、過去に食中毒を起こしたことで悪い印象を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、きちんと調理すればダイエットにも適している食材です。
白インゲン豆を上手に使って、美味しく健康的なダイエットを目指しましょう!